DOCTOR’S MAGAZINE 2025年3月号を発刊しました
本号では、「ドクターの肖像」にて、順天堂大学 医学部 神経学講座 主任教授(学長補佐)の服部信孝氏を特集しました。服部氏は、年間約四千人の患者が来院する、世界屈指のパーキンソン病の臨床・研究拠点である順天堂大学大学院医学研究科神経学(脳神経内科)を率いています。日本一の症例数を基に、数多くの研究成果を発信し、2020年に、同院はNewsweek誌の神経内科分野における「世界の優秀な病院ランキング」10位に選出されました。服部氏は、今の神経学講座の研究室の基礎ともいえる分子生物学的研究ができる実験室を一から立ち上げ、ゲノム科学の第一人者、慶應義塾大学医学部教授の清水信義氏を訪問して意見を求め、後に清水氏との共同研究で、パーキンソン病の原因遺伝子のParkinの単離に成功し、1998年に『Nature』に掲載されました。
その後も、様々な国の研究グループと共同研究を行い、順天堂大学で初めての文部科学大臣表彰科学技術賞(研究部門)、パーキンソン病の分野で栄誉ある C.David Marsden Lecture Award(Madrid, Spain)など、国内外で権威ある賞を数多く受賞してきました。このような取り組みと並行して、週に2度の外来診療を行い、パーキンソン病友の会の親善旅行に参加するなど、可能な限り患者とつながることを大切にしています。「全ては患者さんのために」、卓越した人心掌握術で人々を魅了し、先を見据える洞察力で進むべき道を切り開く「ミスター·ブレークスルー」、服部氏の足跡を追いました。
「Challenger -挑戦者-」では、茨城県立こども病院小児総合診療科、小児超音波診断・研修センターの弘野浩司氏を取材しました。被ばくリスクの高い小児に対して、エコー検査は安全で有用な診察手段です。しかし、「お腹の中は超音波では見えない」という固定観念から、これまで小児科では十分に活用されてきませんでした。弘野氏は、この常識に挑戦し、エコーの手技を広めるために、全国の小児科医や看護師に向けた教育に情熱を注いでいます。小児医療の新たな可能性を切り開く弘野氏の挑戦と情熱に迫りました。
その他、「Case Study-特別企画-地域医療のカタチ『新潟県』」では、新潟県福祉保健部長の中村洋心氏と、「イノベーター育成臨床研修コース」を受講している千手 孝太郎氏による対談を行いました。新潟県では、2022年に「イノベーター育成臨床研修コース」を開始し、独自の研修が人気を博し、獲得研修医数が県の過去最多を更新しています。“知れば面白い”新潟県の取組みには、県庁インターンや、オンライン海外留学支援、産業医資格取得コースなどがあり、唯一無二の経験が積める環境があります。
「押し売り書店“仲野堂”」のコーナーでは、“痛み”をテーマにしたものや、最新医学の“研究手法”を解説したものなど、英国人医師の著書3冊をご紹介いたします。今月も、全国各地で活躍する医師や医療法人を様々な観点からご紹介しております。
<DOCTOR’S MAGAZINE 2025年3月>
■ドクターの肖像
順天堂大学 医学部 神経学講座 主任教授(学長補佐)
服部信孝
■Doctor’s Opinion
“これからのがん医療~専門医から、かかりつけ医へ~”
日本医科大学武蔵小杉病院 腫瘍内科 教授 兼 外来化学療法室 室長
勝俣範之
■連載コラム
押し売り書店“仲野堂” #38
大阪大学 名誉教授
仲野 徹
■Challenger-挑戦者
茨城県立こども病院 小児総合診療科
小児超音波診断・研修センター 副センター長
弘野浩司
■Dr.徳田のクリニカルパールズ
“倦怠感と食欲不振の原因は?”
■Case Study-特別企画-
地域医療のカタチ「新潟県」
“唯一無二”の研修コースとフィールドで、社会を変える医師に
■臨床研修指定病院紹介
山形市立病院済生館
国立大学法人 鳥取大学医学部附属病院
■専門医研修紹介
地方独立行政法人大阪市民病院機構 大阪市立総合医療センター
医療法人財団 明理会 新松戸中央総合病院
■医療過誤判例集
“精神科の患者に対する血液透析導入を断ったことについての損害賠償が認められた事例”
■医局紹介
琉球大学 胸部心臓血管外科学講座
東海大学 医学部 外科学系脳神経外科学
■Medical Topics/Student’s Voice
メディカルトピックス/医学生の声