DOCTOR’S MAGAZINE 2025年5月号を発刊しました
5月号の「ドクターの肖像」では、兵庫医科大学 医学部 リハビリテーション医学講座 主任教授の道免和久氏を特集しました。ニューロリハビリテーションの第一人者である道免氏は、脳卒中後の麻痺治療におけるCI(Constraint-induced movement therapy)療法を、日本に広めました。CI療法とは、脳卒中後に体の片側が麻痺した患者に行う集中訓練で、麻痺していない方の手にミトンなどをかぶせて使わないようにし、麻痺している手で積極的に動作を行う訓練をするリハビリ療法です。
道免氏は、整形外科医で義足の研究をしていた父の影響を受けながらも、自分の道を模索してリハビリテーション専門医となりました。「麻痺を治したい」という患者たちの思いに応えるため、日常生活で使えるように回復を支援する革新的なリハビリを実践してきました。また、2006年の診療報酬改定時には、リハビリ医療の日数制限に反対する署名活動を行い、患者の尊厳を守るための闘いを続けました。現在では、リハビリテーションロボットやVR技術を使った最先端の研究にも取り組んでいます。昨年よりパーキンソン病と診断され、自らの体の変化を冷静に分析し、新たな好奇心を向けています。「リハビリは創意工夫をしながら、目標にたどり着くためのステップを考えていく。こんなに楽しい治療法はないと思います」と静かに、穏やかに語る道免氏の足跡をたどりました。
「Challenger -挑戦者-」では、東京女子医科大学麻酔科学分野教授・麻酔科診療部長の長坂安子氏を特集しました。長坂氏は、麻酔の殿堂であるハーバード大学マサチューセッツジェネラルホスピタル(MGH)の麻酔科レジデンシーを経て、最も狭き門の一つである心臓胸部麻酔フェローを修了した、心臓麻酔のスペシャリストです。麻酔科医の役割は、手術前後の管理だけでなく、患者の全体的なケアに及ぶことから、単なる「麻酔屋になってはいけない」との強い信念を持ち、数々の挑戦と困難を乗り越えてきた長坂氏の半生を追いました。
その他、「FORTE -日本列島病院探訪-」では、京都・烏丸御池の地で、120年以上にわたり、産婦人科病院として命の誕生に立ち会ってきた足立病院を特集しました。現在、分娩数は京都府内1位(全国14位、2023年8月時点)で、京都では4人に一人が足立病院で生まれています。「現状維持は衰退の始まり」と、長い歴史を守るために独自の改革を次々と実行した現理事長で6代目院長の畑山 博氏と、7代目院長の澤田守男氏にこれまでの歩みと今後の展望を伺いました。今月も、全国各地で活躍する医師や医療法人を様々な観点からご紹介しております。
<DOCTOR’S MAGAZINE 2025年5月>
■ドクターの肖像
兵庫医科大学 医学部 リハビリテーション医学講座 主任教授
道免和久
■Doctor’s Opinion
“諮詢なき建白書〜危機を正しく伝え、明日の議論を〜”
一般社団法人 高知医療再生機構 理事長
倉本 秋
■連載コラム
押し売り書店“仲野堂” #40
大阪大学 名誉教授
仲野 徹
■Challenger-挑戦者
東京女子医科大学 医学部 麻酔科学分野 教授・基幹分野長
長坂安子
■Dr.徳田のクリニカルパールズ
両手の震えと嗄声の原因は?
■FORTE -日本列島病院探訪-
医療法人財団 今井会 足立病院
■臨床研修指定病院紹介
医療法人秀和会 秀和総合病院
日本赤十字社 福井赤十字病院
■専門医研修紹介
地方独立行政法人 神戸市民病院機構 神戸市立医療センター中央市民病院
株式会社麻生 飯塚病院
■医療過誤判例集
禁忌薬剤の投与および医師法・医療法上の義務等
■医局紹介
鳥取大学医学部統合内科医学講座 画像診断治療学分野(放射線科)
日本医科大学千葉北総病院 救命救急センター/ショック・外傷センター
■Medical Topics/Student’s Voice
メディカルトピックス/医学生の声