DOCTOR’S MAGAZINE 2025年11月号を発刊しました
今回の「ドクターの肖像」では、国立健康危機管理研究機構 理事長/東京大学 名誉教授/日本外科学会 名誉会員の國土典宏氏を特集しました。肝臓を専門とする消化器外科医の土氏は、日本で生体肝移植が始まった黎明期から、これまで300例以上の肝移植を手がけてきました。24時間365日、患者に向き合い、感謝される外科医の父を見て、自身も医師を志しました。東京大学医学部卒業後は、東京大学第二外科へ進み、多くの肝硬変の患者を診る中で、「いつか移植手術をやってみたい」と肝臓外科の道へと踏み出しました。
日本初の生体肝移植が行われた1989年、國土氏はミシガン大学へ留学し、2年間研究に従事しました。帰国後に、國土氏は、肝臓手術のスペシャリストで、恩師となる幕内雅敏氏の肝切除を見て衝撃を受け、肝切除のスキルを磨きました。その後も、今でも忘れられない患者の言葉や、ドナーの肝臓移植手術中の出来事が、國土氏の安全で確実な手術への思いを強くし、3Dシミュレーションの開発へと繋がりました。それまで一部の医師に継承されてきた術式が、國土氏のグループが3Dシミュレーションを開発・普及させたことで標準化され、多くの医師が実践できるようになりました。現在では保険収載され、腹腔鏡やロボット支援手術の基盤にもなっています。
2017年には、國土氏は国立国際医療研究センター理事長に就任し、2020年のコロナウイルスのパンデミック発生時には、国立感染症研究所と連携して、PCR検査体制を構築するなど、水際対策で大きな役割を果たしました。国立健康危機管理研究機構の理事長となった現在でも、外来を受け持ち、目の前の患者に誠実にひたむきに向き合う國土氏の物語を追いました。

「Challenger -挑戦者-」では、声帯摘出で声を失った人が再び声を取り戻せるように、音声変換アプリケーションの開発に取り組む頭頸部外科医の西尾直樹氏を特集しました。第2回目の「それ、ChatGPTが代わりにやります!」では、論文抄読会の準備の場面で、ChatGPT を「論文解析の専門家」として活用し、準備を効率化する方法をご紹介いたします。そして、「押し売り書店“仲野堂”」では、学歴とは何かを考えさせてくれる3冊をご紹介いたします。今月も、全国各地で活躍する医師や医療法人を、様々な観点からご紹介しております。
<DOCTOR’S MAGAZINE 2025年11月>
■ドクターの肖像
国立健康危機管理研究機構 理事長/東京大学 名誉教授
日本外科学会 名誉会員
國土典宏
■Doctor’s Opinion
“救急外来での「患者と深く向き合うコミュニケーション術」”
福井大学医学部附属病院 救急科・総合診療部 教授
林 寛之
■連載コラム
押し売り書店“仲野堂” #46
大阪大学 名誉教授
仲野 徹
■Challenger ―挑戦者―
名古屋大学大学院 医学系研究科 耳鼻咽喉科学 准教授
西尾直樹
■Dr.徳田のクリニカルパールズ
だるさの原因は?
■FORTE -日本列島病院探訪-
社会医療法人 北晨会
恵み野病院
■それ、ChatGPTが代わりにやります!
#02 論文を「アップロード」するだけでプレゼン完成
東日本橋内科クリニック院長
白石達也
■臨床研修指定病院紹介
地方独立行政法人 那覇市立病院
富山県厚生農業協同組合連合会 高岡病院 厚生連高岡病院
■専門研修紹介
地方独立行政法人広島市立病院機構 広島市立北部医療センター安佐市民病院
石巻赤十字病院
■医療過誤判例集
ERCP・胆道鏡検査2日後に死亡した患者につき、説明義務違反による死亡との因果関係があるとされ、逸失利益など死亡による損害が認められた事例
■医局紹介
名古屋大学大学院 医学系研究科 神経内科学
埼玉医科大学国際医療センター 小児心臓科
■Medical Topics/Student’s Voice
メディカルトピックス/医学生の声

