DOCTOR’S MAGAZINE 2026年6月号を発刊しました
今回の「ドクターの肖像」では、富山大学形成再建外科・美容外科教授の佐武利彦氏を特集しました。佐武氏は、乳房再建を通して多くの患者に希望を取り戻させてきた形成外科医であり、富山県を「乳房再建率全国2位」へと押し上げた立役者です。統合失調症を患った兄のような患者を治したいという思いから医師を志し、熱傷治療患者の救命に関わったことが転機となり、形成外科の道へ進みました。その後も、各地で高度な手術経験とマイクロサージャリーの技術を磨く中、乳がんの手術で「どうすれば乳房を再建できるか」という疑問から、乳房再建の技術も体得していきました。
乳房再建の術式は、インプラント(人工乳房)を用いる方法と自家組織を用いる方法の2つに分けられる中で、佐武氏が特に力を入れたのが脂肪注入による乳房再建でした。見た目の自然さだけでなく、低侵襲で傷痕が小さく自然に近い質感や温もりにまでこだわった“再建と気づかれない美しさ”を追求。その技術は、オペラやリサイタルの舞台に再び立つという生きがいを取り戻した患者からの情報発信を通して、乳房を失った患者や医師の間へ口コミで広がっていきました。
2020年、富山大学に新設された形成外科初代教授に着任後は、手術が満足にできないコロナ禍の困難を乗り越え、医療体制を整備し、「富山モデル」と呼ばれる乳房再建率全国2位の実績を確立しました。現在では、後進の育成、横浜のクリニックでの手術やトランスジェンダーの人たちへの治療に取り組むなど、場所やポジションに縛られない柔軟な働き方を実践しています。「形成外科医の道を振り返って思うことは、『形成外科は精神外科だ』ということです。今、私が取り組んでいる医療は、ある意味で全て心を癒やす医療です。その原点は、どこまでいっても変わりません」と語る佐武氏の軌跡を辿りました。

「Challenger -挑戦者-」では、超難症例が集まる順天堂大学呼吸器外科の第一線で活躍し、子育てとキャリアを両立しながら、世界トップレベルの呼吸器外科医を目指す福井麻里子氏の挑戦を追いました。連載コラム「Dr.Matsui きょうも誰かが、眠れていない〜診察に効くやさしい睡眠の話〜」では、「夜中に歩き回る中学1年生」についてのお話です。「押し売り書店“仲野堂”」では、仲野先生著書の「生命科学者、定年後に畑にハマる 実践・知的菜産の技術」をはじめとする家庭菜園がテーマの3冊をご紹介いたします。今月も、全国各地で活躍する医師や医療法人を、様々な観点からご紹介しております。
<DOCTOR’S MAGAZINE 2026年6月>
■ドクターの肖像
富山大学 学術研究部医学系 形成再建外科・美容外科 教授
富山大学附属病院 副病院長/医療福祉サポートセンター長
横浜市立大学大学院 国際マネジメント研究科 博士前期課程
佐武利彦
■Doctor’s Opinion
“国内の小児感染症診療のこれまでとこれから”
新潟大学大学院 医歯保健学研究科 研究科長 兼 小児科学分野 教授
日本小児感染症学会 理事長
齋藤昭彦
■連載コラム
押し売り書店“仲野堂” #53
大阪大学 名誉教授
仲野 徹
■Challenger -挑戦者-
呼吸器外科 准教授
福井 麻里子
■Dr.徳田のクリニカルパールズ
肩と腰の慢性疼痛の原因は?
■FORTE-日本列島病院探訪-
医療法人社団 しろひげファミリー
しろひげ在宅診療所
■Dr.Matsui きょうも誰かが、眠れていない〜診察に効くやさしい睡眠の話〜
[第3回]“夜中に歩き回る中学1年生”
国立精神・神経医療研究センター 睡眠障害センター長
松井 健太郎
■臨床研修指定病院紹介
総合病院 松江生協病院
広島中央保健生活協同組合 福島生協病院
■専門研修紹介
JA 北海道厚生連 ニセコ羊蹄広域 倶知安厚生病院
医療法人友愛会 千曲荘病院
■医療過誤判例集
病理医と臨床医の責任
■医局紹介
東邦大学医療センター 大橋病院 整形外科
名古屋市立大学大学院 医学研究科整形外科学
■Medical Topics/Student’s Voice
メディカルトピックス/医学生の声

